発音

1. 音声学的分類

ベトナム語の “n” は：

有声歯茎鼻音（びおん）

日本語の「ナ行」とほぼ同じ場所・同じ仕組みで発音します。

2. 発音方法

舌の位置

舌先が 上の前歯のすぐ後ろの歯茎（歯茎隆起） に触れる

舌の両側は上の歯に軽く触れる

口の形

唇：自然でリラックス

顎：軽く開く

息の流れ

口は舌により閉じられ、鼻から息が抜ける

有声音

喉が 振動する（ナ行と同じ）

発音

1. 音声学的な分類

ベトナム語の “t” は：

無声歯茎（または歯）破裂音・無気音

IPA: [t]

無気音（むきおん）＝息がほとんど出ない

日本語の「タ」に近いですが、

もっと短く、鋭く、息が弱い のが特徴です。

2. 発音方法（詳細）

舌の位置

地域によって少し異なる：

南部方言：舌先が上の歯に軽く触れる（歯音）

北部方言：舌先が歯茎（前歯のすぐ後ろ）に触れる（歯茎音）

どちらも自然な発音です。

口の形

唇：力を入れない

顎：自然に開く

歯：軽く閉じるか、少しだけ開く

発音の流れ

舌先で一瞬息を止める

パッと離して破裂させる

ほとんど息を出さない（無気音）

喉は振動しない（無声）

発音

1. 音声学的な分類

ベトナム語の “th” は

無声歯茎破裂音（強い破気）

IPA：[tʰ]

英語の think の “th” ([θ]) とは全く違う音です。

英語の “th” は 舌を歯の間に出す摩擦音。

ベトナム語の “th” は「強く息を出す T」 です。

2. 発音方法（詳細）

口の形

唇：力を入れず、軽く開く

顎：自然に開く

舌の位置

舌先を 上の前歯のすぐ後ろの歯茎（歯茎隆起） に軽く触れる

→ 日本語の「タ行」の舌位置とほぼ同じ

発音の流れ

舌で空気を一瞬せき止める

舌先を離し 勢いよく破裂させる

同時に 強く息（破気）を出す

喉は振動させない（無声）。

破気の強さ

手を口の前に置くと…

日本語の「タ」 → 空気は弱い

ベトナム語の “th” → 空気が強く当たる

発音

1. 音声学的な分類

“đ” は：

有声歯茎破裂音（むせいはぎきはれつおん）

IPA: [ɗ]（地域によって [d]）

日本語の「ダ行」に近いですが、

より短く、くっきり

破気（息の強い押し出し）がない

舌の動きがしっかりしている

という特徴があります。

2. 発音方法

舌の位置

舌先を 上の前歯のすぐ後ろの歯茎（歯茎隆起） にしっかり付ける

舌全体が日本語より少し 緊張（テンション） する

舌の側面が上の奥歯に軽く触れる

口の形

唇：自然

顎：軽く開く

歯：自然な軽い閉じ方

息と声

鼻ではなく口から

喉を振動させる（有声）

息はほとんど出ない（無気音）

発音の流れ

舌先で空気を一瞬止める

パッと離す

喉を振動させながら、短く強めに出す

⚠ 日本語の「ダ」よりも もっとキレがある

発音

1. 音声学的分類

ベトナム語の “x” は：

無声歯茎摩擦音

IPA: [s]

英語の “s” と同じ音です。

日本語の「サ行」とも非常に近いです。

2. 発音方法

舌の位置

舌先は上の前歯の後ろの 歯茎（歯茎隆起） に近づける

ただし 触れない

舌の側面は上の歯に軽く触れる

口の形

唇：わずかに横に引く（軽く笑う感じ）

顎：軽く開く

歯：近いが触れない

息の流れ

舌と歯茎の間のすき間から 連続的な摩擦音 を作る

喉は 振動させない（無声）

日本語との違い

日本語の「サ・ス・セ・ソ」にかなり近いが、日本語よりも少し強く、はっきりした摩擦音 になることが多い。

発音

1. とても重要！

ベトナム語の “d” は 日本語や英語の「ダ行」ではありません。

地域で発音が変わります：

北部（ハノイ）

d = [z]（有声の「ズ」）

南部（ホーチミン）

d = [j]（「ヤ行」の音）

どちらも正しい発音です。

2. 北部の d = [z] の発音方法

舌の位置

舌先を上の歯の後ろ（歯茎）に近づける※ 触れない

舌の側面は上の歯に軽く触れる

口の形

唇を軽く横に引く

歯は近いが触れない

息の流れ

舌と歯の間から摩擦音を出す

喉を 振動させる（有声）

日本語の 「ズ」 に似ている。

3. 南部の d = [j] の発音方法

舌の位置

舌の中央を少し持ち上げて、口蓋（こうがい）に近づける

英語の yes の y と同じ

口の形

唇は自然にリラックス

息と声

口からスムーズに出す

喉は振動する（有声）

日本語の 「ヤ・ユ・ヨ」 に近い。

発音

ベトナム語の「l」

日本語の 「ラ行」よりもっと “l” らしい音 です。

英語の light の L に近いです。

調音位置（舌の置き方）

舌先を 上の前歯のすぐ後ろの歯茎（歯茎 ridge）に軽く当てる

舌全体は 低め にしてリラックス

舌の 両側から空気が流れる（側音）

口の形

軽く開ける

リラックスした自然な形

声帯

有声音（声帯が震える）

音のイメージ

日本語の ラ行 より “L” がはっきりしている

英語の「ライト（light）」の L と同じような、クリアな L

よくある間違い

日本語母語話者は r のように巻いてしまう 傾向がある → 誤り

舌先をもっと 前のほうに置いてはっきり L を作ると良い